従業員の主体性やモチベーションは仕組みで作る重要性
従業員の主体性やモチベーションを作るにはどうしたらいいか?という相談を店舗ビジネスコンサルをしているととてもよく質問されます。
私は独立した当初はそれこそ自分自身の主体性とモチベーションは誰でも築けるもの!教育研修ですぅぅぅ!と意気込んでやっていました。
私と同じ波長というか元々主体性が高くなる素養のある人は私の研修を受けて確かに主体性もモチベーションも上がりました。
しかし、私と同じ波長ではない従業員は思うように主体性もモチベーションも上がりませんでした。クライアントも「やる気がないから仕方ないですよ」と起業当初言っていた言葉に甘んじていましたね。
例えば「仕事の目的は何ですか?」という質問に対する回答で顕著に現れます。明確な目的を持っている人もいれば、無目的で働いている人もいるわけです。前者は波長が合いますが、後者とは当然ながら合いません。
「どうしたら全体の主体性やモチベーションを高めることができるのか?」
店舗ビジネスで成功している企業を紹介してもらいクライアントと一緒にベンチマークをしていても紹介される会社が業界のレジェンド級ばかりですごすぎてどうやって参考にしたらいいのかわからない・・・(当時の私は吸収力も低かった)
こんな状態が長く続きました。あなたの会社や店舗はいかがですか?
この頃の失敗経験にもある通り、教育で主体性やモチベーションを上げるのには限界があります。
教える人と教わる人の波長が合うというのがかなりポイントになるからです。
さらに教える人のレベルに応じても相手のやる気度は大きく左右されます。
もっと現場目線で言えば、店長によって従業員の主体性やモチベーションに差が出る、ということになります。
私はABCマートでアルバイトをしたのが接客販売業では初めてでこの時の職業体験が店舗コンサルティングの土台になっています。
会社全体が圧倒的に主体性もモチベーションも高かったので、むしろ独立してから色んな企業を見て「えっ?なんでこんな愚痴が許されるの?」「えっえっ??」というネガティブなカルチャーショックを受けました。
ではABCマートは教育や店長の質で主体性やモチベーションが管理されていたのか?と言われると答えはNOです。(もちろんこの当時の店長の質はめちゃくちゃ高かったです)
②本部社員(役員含む)が毎週末店舗で働く
今日はこの二つを紹介します。
①個人売上制度がある
今はどうかわかりませんが、店舗間での競争、個人間での競争がありました。
一般的な小売店では個人売上がないので、店舗の売上が未達であれば個人の責任は分散します。誰が売れてないとか見えないですからね。
しかし、ABCマートは、個人売上制度があるため月間の個人の貢献が目に見えてわかります。
売れなくても咎められたりは一切しません。ただ、「自分が売れなかったから達成できなかったんだな」という自己評価は間違いなくあります。
そして、個人売上を会社全体で個人の能力と見ているので、どうしたらもっと売れるか?=もっと成長できるか?と、個々の成長の尺度として利用していました。
ノルマではないので、殺伐とした感じも全くありませんでしたし、個人売上のベースが上がってくると先輩社員やアルバイトから「力ついてきたね」と言われて嬉しかったのを覚えています。
逆に、今月売上が悪いとしっかりとフォローが入ります。これは個人売上制度がなければ見つけられない個々の悩みです。
個人売上制度と聞くとノルマとしか受け止められない人も多いですが、私は、個人売上制度があることで「自分の現在地(実力)」がわかり、明確に課題が見えるので改善しやすかったですし、成長に繋がる具体的なアプローチが取れる環境にあったなと感謝しています。
②本部社員(役員含む)が毎週末店舗で働く
続いて会社全体で「現場力」を重視する文化を作るために実施されていたであろう全社員店頭で販売をすることについてお話します。
これは私の仮説なのですが、ABCマートは他の会社と比べると本社と店舗の垣根がないのは一緒に販売をしていたからではないか?と思っています。
主体性やモチベーションが下がる要因の一つに本部の施策が理解できない、があります。
日々来店される顧客ニーズとずれていて「こんな商品売れない」と本部のバイヤーに対して怒りをあらわにする、本部は本部でせっかく仕入れた商品を現場は売る気がないと怒る、という相容れない企業が多いですよね。
双方が敵対視しているので両者のレバレッジが全くきかない状況です。これはとてつもない経営リスクだし、もったいないです。ABCマートは全くこの擦れがありませんでした。
本部から販促企画が来ると「待ってましたぁぁぁぁ!」とテンション高めに受け止めていたし、全力で販促企画を成功させようと店舗スタッフは頑張っていました。
(これが普通だったので、独立してからの殺伐とした本部対店舗はショックが大きかったですね、みんな仲間でしょ?って)
以上です。
個人売上制度があることで個人の現在地がわかるのは主体性やモチベーションを発揮する上でとても重要な指標でした。
周りの店舗スタッフもこれを基準に動くので指導がしやすいし、受ける側も結果がすべてなので受け入れて学びます。
これが曖昧になると「私はがんばっている」「あの人はがんばってない」の応酬で責任逃れをすることで主体性もモチベーションも下がります。
また、本部社員が一緒に働くことで全社員が目標達成に向かっている大きな船に乗っている感覚があったので自然と主体性もモチベーションも上がっていきました。
やはり、環境や仕組みは主体性やモチベーションを高める・維持するために欠かせないですね。
個人に委ねるのではなく、会社全体で取り組むべき課題が主体性やモチベーションだと思うのでぜひ今日の記事を参考に店づくり・会社づくりを再考してみてください。