顧客満足度と従業員満足度どちらを選べばいいのか?
営業時間中の売場はお客様基準で何事も選択する、がルールです。(営業時間外は従業員基準で選んでもちろんOKです。)
しかし、世の中にはまだまだ従業員にとって都合の良い売場になる時間帯が多い店があります。
お客様もその都度「すみません、邪魔です」とは言いません、自分で工夫して通路を横切ったり、スタッフの作業する狭い通路を通ったりします。
中には咳払いしてスタッフに気づかせようとしますが、スタッフも「何?こっちは作業してんねん」みたいな顔でお互い睨み合い・・・なんていうのもあります。
私が事業再生で店舗に入るときに実はこういう光景は少なくありません。
見るたびに「あちゃー」と思うわけですが、店舗の売上が落ちて赤字になるにはそれなりの理由があるということですね。
こういう不振店舗も最初からこうだったわけではありません。だいたいどこも一定期間は赤字にはならずずっと黒字だったところが多いです。
しかし、客足が鈍り出した頃からだんだんと店の風紀が乱れていき、赤字に転落、状況はますます悪化の一途を辿るというパターンに陥ります。
これは私の体感値ですが、売れているときって働いている人もモチベーションが高いんですよね。売上が昨対比下回るようになり店舗からも元気がなくなるとこういった問題は表面化してくるように感じています。
暇は悪!売上低迷は悪!ということです。
売上が落ちはじめに見直すべき3つの視点
②無理・無駄をなくす改善策の立案
③ルールの再確認・徹底
①顧客満足度低下要因〜リピート率低下〜
売上が落ち始めるのにはいくつか理由があります。ライバル企業が出店してきた、地域に大きな商業施設ができた、スタッフの大量離職、など。
今日はテーマを絞って顧客満足度が低下しリピート率が下がるというシチュエーションでお話をします。
売上が上がり続けている時は、店内が荒れやすくなります。店舗スタッフの人数も確保しなければいけないし、人数に関係なく高度なオペレーションで顧客サービスにおけるエラーを減らすための努力も必要になります。
しかし、キャパオーバーの状態が続くとスタッフも疲弊してしまい、徐々に顧客満足度が下がり始めます。スーパーや大型店舗だとわかりやすいのはレジの行列と品切れ、です。アパレルや靴店であれば接客してもらいたくても店員がいない、という状況です。
オペレーションが顧客規模に耐えられないとこうして不満が生まれ始めます。
しかし、これには猶予期間があります。「混んでるから仕方ないか・・・」という顧客がストレスを享受する期間が一定期間あります。
初めて店に足を運んで「混んでるなぁ・・・でも仕方ないか」と許されるのですが、これが次回も同様に混んでいると「ここは混んでるし、イライラするからやめよう」と見限られてしまいます。
混雑している状態を見て「繁盛してる!」と帳簿上の売上だけを見るのではなく、店舗スタッフの顔を見ましょう。余裕がなく無表情で仕事をしていたら黄色信号です。
顧客を見ても顧客はサイレントクレームで店を去るだけなので、スタッフの顔を見るのが一番確実です。
②無理・無駄をなくす改善策の立案
スタッフの顔を見ていくつか手を打たなければいけません。
ここで多くの店舗経営者は「スタッフ採用」をしようとしますが付け焼き刃にすぎず、状況を好転するにはかなりの時間がかかります。
新人研修をしてバディ制度でしばらくスタッフと二人三脚で指導する古株スタッフの時間もかかるので採用して戦力にするには越したことはありませんが、この段階では得策ではないですね。
重要なのは、今いるメンバーでスタッフの無表情を笑顔に変えて余裕を創出する方法を考えることです。
基本的には店内で生まれる無駄・無理を解消するための方法を生み出します。
まだまだ多くの企業が改善の可能性を秘めているところだらけなので「うちはこれ以上効率化できないよ」というのは何も考えていないレベルなんだと思うようにしてくださいとクライアントにはいつも言っています。
パッと思いつくレベルの改善策ではなく、まとまった時間をとって各売場の主任と改善策を10〜20個出して「すぐできること」「最も時間削減になること」を基準にベスト5を選び、週1ペースで改善策を現場投入するようにしましょう。
完璧な店はないため必ず無理と無駄をなくすための取り組みができます。諦めずに施策を実践し続けていきましょう。
③ルールの再確認・徹底
忙しくなってくると守られていたことが守られなくなる、という現象が起こります。
個々の勝手な判断だったり、報告がおざなりになることで無駄なトラブルに見舞わられて時間と人材が対象しなければいけなくなります。
これまで守ることができていたルールが守れなくなった理由は何か?を考えて無駄な対応の再発防止策を検討しましょう。
これも時間がないからという理由で放置すると勝手な行動は増えるばかりになります。今一度守るべきルールは守るように朝終礼など全員が集まる場所で話をしましょう。
よくあるのは、報連相の欠如、指示を出す際のコミュニケーションルール(命令口調になりやすい)、営業時間中の作業ルール(お客様の邪魔になるような作業の仕方)です。あなたの店はいかがでしょうか。
以上です。
常に時間に追われながら仕事をしているとルールが守れないことが増えてきます。これくらいいいだろうという気の緩みが結果的に全体最適を阻みトラブルに発展することが少なくないです。
働くのは人なので完璧に尊守し続けることは難しいですから、定期的にスクリーニングをはさむことで決定的なトラブルにならないように進めていきましょう。