顧客体験で「試す」はどこもやっているが全商品はどこもやっていない
試食・試飲・試着と言った顧客が店内でいろんな体験をすることができるのはあなたもよくご存知でしょう。
私もクライアント先にはできる限り5感に訴えかけるような演出を心がけて店づくりをしようと話をしています。
中でも私がよく覚えているのは、近隣のライバル店よりもインパクトのある顧客体験を提供できないか?という議論になり、商品選択に困り一番低コストでお客様に体験を味わってもらえる商品は何か?を探した結果取り扱っている紅茶となりました。
一般的にどの店でも販売されているブランドなのですが、商品数がとにかく多いのが特徴です。ティーバッグに入っているタイプの商品なのですが、この店だけでも15種類近くさまざまな紅茶(その他も含む)を扱っていました。
ブレックファストティーなどの王道紅茶や、ピーチティーなどのフレーバータイプも沢山揃えていました。しかし、思ったほど売れていないことが店舗側としても悩み、働くスタッフも正直どうやって売ったらいいのかわからないという状況でした。
取扱をやめて新商品を並べるか?紅茶を爆発的に売るか?の二択を迫られて私はこう伝えました。
「おそらく新商品が並んでも同じように売れない売場になるでしょう。まずは、この紅茶でしっかりと顧客に価値を提供して爆発的に売ってから新商品を展開するかどうかの議論をしましょう。」と伝えました。(ドヤ顔で・笑)
無事方向性が塊取り組んだことは、「インパクト重視」で全商品を試飲できるイベントをやりましょう!と伝えました。
顧客体験の基本中の基本は「従業員が商品を好き」であること
特定の商品を店内で試してもらうためには、ただ試飲・試食・試着を顧客に依頼するだけではなかなか売れない。
それこそ試食をして作り手の熱量が高くて思わず購入してしまったことがあるはずです。
逆に、やる気のない人が作った試食はとりあえず食べてスルーをしてきたはずです。この両者の違いは何か?
「このソーセージほんっとうにおいしいんですよ!私も食べたんですけど、今まで食べたものの中で一番の肉汁っがじゅわってなります!」と言いながら試食してもらうのと「はいどーぞー。ソーセージの試食ですー」では全く違いますよね。
これはマニュアルでなんとかなるのではなく熱量は自身の体験から湧き上がるものなのです。
そう、だからまず私は全商品(紅茶の話ですよ・笑)をスタッフに試飲してもらい感想を集めました。そして、スタッフが好きな紅茶ベスト3をそれぞれ決めてもらいました。
1位(3ポイント)2位(2ポイント)3位(1ポイント)というふうに割り振りをしてどの紅茶が一番ポイントが高かったのか?を集計しました。
そして、イベントを開催します。
従業員が選ぶベスト3紅茶飲み比べイベント開催!
スタッフの試飲しているところを何枚か写真を撮って、みんなで模造紙に張り出された商品にぺたぺたランキングシールを貼っている社内イベントをPOPにして、ベスト3位の紅茶試飲会をやりました。
ちなみにすべての紅茶を飲むことができます。しかし、最初からすべての紅茶飲めます!と言われても何を飲んだらいいかわからないじゃないですか。だから選びやすくするためにまずは、3種類を提案しました。
お客様も従業員が選ぶベスト3とまとを絞ったコピーだからこそ反応してくれるし、スタッフもとりあえずこの3種類の紅茶だけでも熱量高くお客様に提案できる、という環境を作りました。
これが・・・大ヒットしました。
どれくらいヒットしたかというとベスト3の在庫は通常の5倍仕入れて午前中で完売してしまい午後のイベントを急遽中止にしたほど・・・(お客様本当に申し訳ないっす)
なぜベスト3が完売したのかというと、従業員が選ぶベスト3だけパック販売をしたのです。通常1パック500円が、3パックで1000円にしたところ「じゃあそのパックください」と途中から試飲していない人までもが買う事態になりました。
この記事の反響があったらもう時期は過ぎちゃったけど、塩鍋とか醤油鍋、味噌鍋、キムチ鍋などの鍋の素ありますよね。鍋王選手権ていうのもやって大ブレイクしたよっていう話も紹介しようかなぁ。
こういう顧客が熱狂する企画は、比較的簡単に作ることができます。
なぜなら、従業員を巻き込めば良いからです。よくあるのは本社が派遣してきたマネキンさんが店頭で試飲・試食会をやりますよね。(全然悪くないですよ。やらないよりはやった方が良いです)
でもやっぱり自店舗で働き、普段からお客様の顔をみている従業員が試飲・試食した方がそりゃ売れますよ。それも商品を好きになる・商品を知るきっかけをつくればまずは店内が熱狂します。
まだまだ埋もれている商品は沢山あるし、市場には出回っていて自社のスタッフが知ったら熱狂する商品やサービスは沢山あります。
店舗経営者はこういった商品を市場から発掘すること、そして店長は自店舗に眠る熱狂する商品を探すこと、これとっても大切ですよ。
ぜひご自身の店舗経営に役立てば嬉しいです。