価値の高い商品の魅力を引き出すのは売場担当者の仕事
これまでのチェーンストアマネジメントでは、売れる商品はエンドと言われる一番お客様の目につくところに置くことがセオリーでした。
私の店舗コンサルティングの現場では基本的に目立つところに売れ筋の商品を置くことはありません。
というかむしろ売れない商品を展開するようにしています。
なぜだと思いますか?シンプルに顧客はもうありきたりな売場に飽きているのです。
私自身も買い物をしていて「つまらない売場」と認識することは少なくありません。(大変失礼なことですが・・・)
特にセルフ型の店舗でありきたりな売場を見ると購買意欲は落ちるので欲しい商品だけ購入して帰ります。
(特にこれで経営に困っていなければ問題ありません。理由は後述しています)
これってすごい機会損失だなぁといつも思います。店舗内で「なんだこの商品は!」というセレンディピティがないので心が動きません。
心が動く=感動ですから、「あの店いいよ!」「あの店にこんな商品あって買ってみたらすごいよかった!」という口コミも発生しません。
ごく普通の店に成り下がるのです。
では、なぜごく普通の店(いわゆるチェーン店)が今まで店舗経営で勝ち組として君臨していたのか?
需要と供給のバランスで店舗経営のあり方は変わる
数年前のタピオカミルクティの行列を見ればわかる通り、需要が供給を上回っている内は正直言って「ありきたりな店」で全く問題ありません。
むしろ変にいじるよりも商品による圧倒的な市場価値があれば「1秒でも早く正確に商品を提供する」ということができれば店頭はOKです。
ですから、創造性を発揮するよりも徹底してミスモレのないオペレーション体制を築くことが大切です。
しかし、圧倒的商品力で市場を席巻したタピオカも徐々に落ちていきましたよね。
すると、供給過多の状態になります。このプロダクトライフサイクルがあまりにも早すぎる、というのがここ数年の傾向です。
それこそ数十年前までは一つの商品で長く稼ぐことができました(今も定番商品はもちろんあります)。SNSの発展で、短期のライフサイクルで1ブーム作れればOKという商品も目立っていますよね。
そのため、オペレーション体質の組織がいきなり供給過多になっても対応しきることができず立て続けに閉店を余儀なくされる現場をみてきました。
それこそタピオカ店は典型でしょう。では、供給過多になった場合どうするべきなのか?
顧客の欲しいを超える新しい価値提供が生き残る唯一の道
顧客にとってありきたりな店内(売場)を創るようでは次第に客数は減り、客単価は落ちていきます。可処分所得が増える見込みがなかなか立たないデフレ経済化においては、シビアになるため欲しい商品はできる限り安く買いたい、という発想になります。
ですから、オンラインショップはこれからもしばらく市場拡大していくことでしょう。オンラインとリアルの違いでオンラインの強みは「便利・安い」です。これは絶対に店頭が勝つことができないので欲しい商品を売るだけの売場では生き残れません。
店頭で購入するというハードルが高まっていることに多くの店舗経営者はまだ気づいていません。コロナが落ち着いたらまた店にお客様が戻ってきてくれると思っていますが、心の底から言いたい「甘すぎる」。
今回のコロナウィルスでこれまでのお客様は確実にオンラインの便利さに気づいてしまいました。これまでオンラインで購入しなかった層のお客様までも取り込んでしまったのだから店舗で購入するお客様の絶対数は増えません。
今後は、これまでの店内体験を超える新しい価値を提供し、「これはオンラインでは体験できない!」という圧倒的な付加価値をつけるべきです。
体験というとなんでも店内で体験できる店!というコンセプトに走りがちですが、これでは難しいです。
お客様は店内で試して「便利で安い」オンラインで商品を購入します。ではどうしたらいいのか?
顧客の欲しいを超える買い物を店内にいくつも仕掛けることが大切である、ということです。
つまり、入店時は全く興味関心がなかった商品が気づいたらカゴの中に入っている状態を創る、ということです。
店内をお客様の知覚だけで買い物をさせるのではなく新しい価値を提供する場としてレイアウトを組み直すと良いでしょう。
商品選択はどうしたらいいのか?続きは↓の記事で書きますので詳細を知りたい方はご覧ください。