自動発注システムに加えるべき個人裁量発注とは

現場のストレスの解消と創造性を奪わない工夫が店舗ビジネスには必要

先日ある大型店舗で自動発注システムの改善について議論がありました。

素晴らしいシステムで、売れればそのまま補発と言って、規定数をキープするために自動で発注がなされます。

おそらく大手企業のほとんどが導入をしている在庫管理システムです。

しかし、このシステムに依存をしていて現場がオペレーション中心になっていることがどうなんだ?仕事が逆につまらなくなっているんじゃないか?という話になりました。
(↑おそらく理由は私のコンサルティングでオペレーションとクリエイティブのバランスが重要と何度も言っているから影響を受けての話っぽいです

業績も悪くないし、特に今すぐ変えるべき大きな問題はないのですが今後表面化したら困る「人材難のリスク」が少しずつ表に出始めているからなんとか先に潰しておきたいということがシステム議論の発端のようです。

なるほど、確かに現場ヒアリングをしていると作業中心で面白くない・・・という(私からしてみたら贅沢な悩み)リアクションが出始めていたのは気になっていました。まさにそこにメスを入れようとしています。

過去の話なので勿体ぶらずに話をすると、自動発注は維持した状態でこれまで通りの売上と利益をキープしながらプラスαで創造性が生まれる仕組みを作ろう、という話になりました。

地域競争が激しい店舗ビジネスであれば、従業員がより働きやすくなる、さらに顧客感動を創り出す、という両面が必要になります。市場飽和状態では顧客が選びたい放題なので主導権がどうしても顧客側に渡ってしまいがちです。

顧客の選択で店舗を運営するオペレーションの部分と、従業員から発信をし顧客感動を作り出すクリエイティブは共存することができるので、前者を重視しながら少しずと後者を育てていくことが重要です。

そうすることで、前者に厚みが増すようになります。ここもっと説明しますね。

顧客感動を作り出すクリエイティブはいずれオペレーションに組み込まれる

例えば、古株スタッフが自ら「こんな商品を仕入れてみるのはどうですか?展開の仕方もこんな感じで」と言ってきたとしましょう。

「おぉぉそれはぜひやってみよう!」となります。ここまではクリエイティブな仕事といえます。

そして、売上が伸びてきてそのまま常設・常在にした途端オペレーションになります。それも顧客感動が長続きするオペレーションです。わかりやすく説明するとこういうことですね。

顧客感動を作り出す店舗は顧客の合理的購買意思決定を狂わせる

この顧客感動型オペレーションの積み上げは店舗が経済不況化においても強さを発揮します。売上が他店舗と比べてもそこまで落ちません。

ライバルと同じオペレーション(安い・品揃え多い)重視の環境下でも顧客支持が圧倒的に違うからです。

もちろんお客様は同じ商品なら1円でも安い店で購入します。しかし、顧客感動を普段から作り続けている店舗に自然と足が向くようになっているので多少の客単価の誤差は多めにみてくれます。

顧客感動を作り出す店は、顧客の購買意思決定を狂わせる(緩める)のです。

ワクワクしたら止まらない〜♪なんていう歌詞の曲がありそうなくらい、店内でアドレナリンが出てしまうのです。

思わず買ってしまう、という現象を店内に沢山しかけることで、顧客はますます他店が1円でも安いことを知っていても「いっか、ここでついでに買っちゃおう」となります。

顧客感動を生み出し続ける仕組みを創るには自由を与えよう

そこでクライアントの担当店舗では、主任以上(入社3〜5年目以上)の役職者に自社の発注システム以外の商品も本社側が手助けして仕入れられるように働きかけます。

自社・自店舗で扱ってない商品でも愛用しているものは沢山あります。例えば調味料の担当者であれば、自社で取扱のないマニアックな調味料を仕入れてみて、実際に試食販売をして売上につなげる、というのがそれにあたります。
(↑今このスタッフは店内で調味料博士と呼ばれています・笑)

もちろん他社のPBなどは、OEM情報がない限り仕入れることができないので基本的には工場ではなくメーカー交渉となります。

それでも自分が普段から好きで使っているもの、自店舗では取扱がないから仕方なく他店舗で購入しているものがあればそれは大きな機会損失であり、お客様にも同様の不便をかけている可能性が高いです。

今思うと、ABCマートも3月にほぼ毎日4〜5回「すみません、上履きありますか?」と聞かれていたので、1ヶ月間だけ限定で仕入れたくて仕方なかったなぁぁぁと。

・顧客からよく売場内で聴かれること
・担当売場になくて他店舗で購入し愛用しているもの
・自店舗で扱っていて愛用しているが在庫数が少なくて目立たないもの

この辺りの商品を仕入れて自分で責任を持って完売させます。

スタッフ個人個人の成長にも繋がるし、責任感を育てることで仕事に対する姿勢を変えることができます。

さらに、顧客側も「待ってました!」と言わんばかりに喜んでくれることもあるし、「えぇぇこんなのあったんだ、今度使ってみよう」と新商品の登場にワクワクしたりと両者にとってポジティブな影響が生まれます。

(もちろん勝手に仕入れるのはNGです。そもそもPOS登録してないからレジ通らないんですけど・笑)

顧客の欲しい商品はコロコロ変わるし、当然ながらプロ目線で見れば「まだ全然うちの店舗の魅力に気づいてもらえてない!」と思うはずです。
(↑こう思えないのだとしたらそれは思える商品を仕入れて自分で売ってみる、もっと自店舗を知るといいと思います。少なくとも私は、全クライアントの商品にいつも感動しているし、残念だけど商品が埋もれているなぁと思うことばかりです。)

スタッフに仕入れ裁量権を与えて自由に売らせてみてください。やってみればわかりますが、めちゃくちゃスタッフの仕事のモチベーションが自然と爆上がりしますよ!

ぜひ今日の記事もご自身のビジネス推進に役立つと嬉しいです。

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