AIDMA(消費者購買行動)ではもう商品が売れない
AIDMAという言葉をご存知でしょうか?
↑のウェブサイトをご参照ください。
私も大学時代に消費者行動論という授業でAIDMAを知りABCマートでのアルバイトに役立ててきました。
これまでは一度検討をして(M)後日改めて店舗に足を運んで購入を決定する、というのが一般的だったし、AIDMAで正直売れていました。
しかし、2007年に起業してコンサルタントになり様々な企業にコンサルティングをするようになり異変に気づきます。
それは、AIDMAのMAが機能しなくなってきたのです。
間違いなくオンラインショッピングの影響だとすぐにピンときました。
そして、「一度考えます」と言わせてしまう接客にならないような構造を作り込まないと厳しい。
それまでは良い接客をすれば一度退店(M)をしても戻り率(A)が高かったこともあり大丈夫だろうという見立てでいました。
あまかった、激甘ちゃんでした・・・。
しかし、退店後の戻り率がどんどん落ちていき「これはやばい」と本腰を入れてセールスを改革することになりました。
(ここから紹介するのは当社クライアントの自動車販売店の事例です)
AIDAの即決型セールスの極意
即決型のセールスというと多くの人は「売り込む」「クロージング主体」と思うのですが、全然そんなことはありません。
①顧客の願望を明確にする
②今日買うべき理由を作る
③最低限でも仮注文書(キャンセル無料)
という3本立てでクロージングはしなくても即決できます。
いかにお客様にとって特別な存在になることができるのか?
それまでの店舗ビジネスの型は「安い」「ワンストップ」「全国認知」というチェーン展開が強かったですよね。
もちろん今も価格勝負で市場を伸ばしている企業もあります。
ちなみに私は勧めません。同じように、価格勝負を選択すると薄利多売で現場に負担がのしかかるからです。
できれば適正利益を取りたい、でもそうすると売れない・・・というジレンマがありますよね。
私が担当した自動車ディーラーのクライアントでは、毎年昨対比130%超えを続けてきたのですが、大成長の一番の理由は適正価格で高単価商品が誰でも売れたからです。
あれっさっきのジレンマはどこにいった?と思うかもしれませんがぜひ読み進めてください。
ちなみにちょい自慢なのですが新卒2年目のU君は、1年間で200台以上の自動車を販売しました、たった一人で、です。
(↑全く関係ないですが、成田の申し子と言われていました、U君・笑)
決して個々の営業に高い能力がなくても顧客をある状態に維持させることができれば成約率は上がります。
どんな状態なのか・・・それは・・・システム①の状態です。
こちらの本をぜひ読んで理解を深めて欲しいです。心の底から店舗経営者は100人中1000人に読んでもらいたい名著(人数おかしなことになってますが、それくらい素晴らしい本)です。
怠惰で直感的な脳(システム1)とじっくり考える脳(システム2)→ファスト&スローという意味です。
お客様に質問を投げかけてニーズを明確にしていきます。
そして、願望の解像度がどんどん高まっていきます。AIDのDの状態です。
ここからです。即座に「じゃあこれにします」を作るためにはシステム①の中で意思決定をしてもらう必要があります。
わかりにくい説明や無理なクロージングをするとお客様は「うん?」と違和感を感じてシステム2に移行します。
用心深くなり損をしたくないから論理的に考えてみよう・・・というモードに切り替わるのです。
このモードになると即決型のセールスは不可能になり、「一度じっくり考えて・・・」と基本的には先送りになります。
結果、先に説明をした通りこうなるとAID→MAが機能しないため失注となることが多いです。
出来る限り購買までを脳にストレスを与えることなく「じゃあこれにします」となることが美しいセールスデザインであり成約率が最も高くなります。
専門的な話はこのへんまでにするとして、商品やサービスを購入してもらう時は出来る限り「脳にストレスを与えない」ことが大切です。
例えば話をしていて「どういう意味?」とひっかりかりがコミュニケーション上にあったり、
資料を見せた際に専門用語が理解できないと「何この機能・・・」とひっかかります。
す〜〜っと入ってくる、という状態をいかにキープできるかが鍵となります。
だから、取り扱う言葉や文字(フォントやサイズも含む)にこだわる必要があるのです。
顧客の商品知識レベルに応じて使い分ける必要がありますね。反対にわかりやすすぎる説明をすると「バカにしてるの?」となりますので・笑
潜在ニーズにタッチしないと価格勝負に巻き込まれて負ける
今日注文する必要があればお客様は注文をします。
当然ながらシステム①の状態がキープされれば購買の意思決定率は高くなります。
高額商品はあれこれ考えるのが面倒です。にもかかわらず、損をした場合の損失額が大きいため基本的に慎重に意思決定をします。
だから何ヶ月も前から欲しくてもズルズル購買までの日数だけ伸びてしまう・・・なんていうことになるのです。
結局、どこかのタイミングで買うわけですから、自社・自店舗で今購入してもらいましょうよ!
ズルズル病が発動する前に潜在ニーズまでタッチして願望を明確にしましょう。
購買動機は潜在ニーズがどれだけ表面化するか?にかかっています。しかし、顧客の認識するレベルのニーズで売り込むと早々にシステム②が起動します。
何度も書きますが、「損をしたくない・・・」と自問するからです。そうすると「他にももっと安い店があるかもしれない」と思うようになり購買は先送りになります。
あ〜〜〜〜〜!ズルズル病が発動!!!
以上の流れにもある通り、顧客の顕在ニーズの範囲で即決させることはほぼ不可能ですね。(持ち帰って最安値検索します)
これでは適正な利益は生まれないし、現場は消耗するだけです。
成田式セールスのベースでもある質問がなぜ重要なのかというと、ニーズを広げる・深掘って潜在ニーズを明確にするのは顧客の想像を超えて価格勝負ではないところに持ち込むためでもあります。
高額商品であればあるほど損失を最小限にしたいという防衛本能が働くので価格勝負になるようなセールスはしないことが重要です。
価格ではなく安心・安全な自動車を選びたい→視点を価格からずらす
この二つとっても大事なのでぜひ頭に叩き込んでください。
今すぐ買わなければいけない理由とは?
最後に今日すぐに買わなければいけない理由を作ることが大切だよ、という話をします。
基本的にこの自動車ディーラーでは店頭在庫のみです。
別場所で在庫管理をしているわけではなく、今ある分だけです。なぜか?
②1点モノなので今買う理由に繋がる
とこのように2つの理由があります。
店頭在庫のみなのでお客様も今オーダーしないともしかしたらなくなってしまうかも!と思わせることができます。
(購買意欲は仕組みで作ることも大切です。トップセールスの属人的スキルだと業績の維持は困難ですから)
それでももちろんお客様の中には「いや〜今日は決められない・・・」というお客様もいます。
このときは必ず週末までの取り置きサービスを利用してもらいます。
ちなみに週末まで連絡がなければ自動キャンセルになるからわざわざ店に電話をしなくても良いのがポイントです。
買わないといけない、電話しないといけないという壁がないことで仮押さえ率が上がります。
取り置きをすることでキャンセルする人もいますが、「所有欲」と「返報性の原理」が働き、結果的に購買につながります。
約束することはとても重要です。何もアクションを起こさずに帰ると戻り率はゲキ低ですが、取り置きをすると戻り率は80%を超えます。
もちろん接客の中身が良いとか店内の作り込みなど多岐にわたる購買理由(安心感)は作っているのも影響しています。
ぜひご自身の店舗でもAIDAのセールスプロセスで高成約率を実現するためのセールスデザインをアップデートしてみてください。
今日の話は自動車ディーラーだけではなく、全業種で使えるように書いているので何か一つでも取り入れて売上アップにつながったらとても嬉しいです。