苦手科目を克服するのが塾の役目??
もしあなたが個別指導塾の教室長で、こんな質問を受けたらどう答えるでしょうか?
おそらく多くの人が「英語と数学を受講してもらえればいい」と考えるでしょう。これは間違いです。
私はこの質問をクライアントの教室長に聞きました。
すると「中学2年生なので受験も意識した上での相談だと思います」、さすがプロ!まさにその通り。
立て続けに、
「苦手科目を解消すれば満足できる学校に入れると思っている親御さんはどれだけいますか?」と聞きました。
この質問に教室長は「いないと思います。あくまでも中学二年生の間にできる限り志望校受験(今の内申点+αレベル)の土台に乗るくらいの学力を目指していると思います」
そうですね。まだ受験勉強が本格的に始まっていないので現時点では親御さんてきに「塾に行って苦手科目を解消してきなさい!」と息子さんに訴えての来校でしょう。
受験をそこまで意識していない、でも受験で少しでも良い学校に行ってもらいたい、という漠然とした願望があります。
なんとかしたいけどまた慌てる必要はないから少しずつならそうかな・・・という感じ。
ここからが今日の話の本題です。
苦手科目に焦点を当てると満足と不満しか生まれない悲惨な結果になる
一般的に教室長が入塾希望者の面談をします。もちろん親御さんと一緒に。
体験授業を受けるまでのこの30分の面談で「先生の元に息子を預けてよかったです!(感動)」と言われるか「お世話になりました。(満足)」もしくは「・・・(無言)(不満)」の分かれ道です。ここ超重要なのでしっかり読んでください。
個別指導塾は比較的他業種と比べると紹介が生まれやすいです。なぜなら親同士が繋がっているor兄弟がいる、からです。
塾の評判は一瞬にして学年間に広まるので一度も来校していないし、問い合わせもしてきていないのに「あの塾くそ!」という謎のレッテルを貼られる可能性もあるので評判命で塾経営はしなければいけません。
あなたがもし個別指導塾の経営者であれば100%「先生の元に息子を預けてよかった!」と言われたいですよね。おそらく言われた講師の先生は涙を流して「息子さんがんばりましたね!」とやりがいに満ち溢れますます自分の仕事を好きになり誇りを持てることでしょう。
反対に、満足・不満で終わってしまうとやりがいもそこそこ・もしくはないという最悪な結果を招いてしまい塾の講師という仕事を辞めてしまうかもしれません。
実は、この極端ではありますが両者の結果の差は入塾してから受験までの期間(講師・生徒の努力)ではなく、ほぼ入塾前に決まっているのです。
ここに気づけている経営者はおそらく毎年エリアで最も成功している個別指導塾で、しかも生徒さんが大学に入学後講師として帰ってきてくれて採用費ゼロで超優秀な講師を獲得することができているでしょう。
ちなみにこの一行前の話は私のクライアントの話です。
入塾の段階でしっかりと話し込み、本人の学力+αの学校をさらに超える高校に入学ができて、そのまま高校も同じ個別指導塾に通い大学入学後そのまま個別指導塾で働くという嘘なんじゃないかと思うほどできすぎた実話です。(元気にしてるかなぁ・・・(笑))
この理想的な結果はビジネスを設計する段階で作り込むことで実現します。もちろん面談中のセールス手順もすべて。その全貌をこれからお話します。
親御さんの視点を変えるだけで2ランク上の学校に確実に入れる面談術
個別指導塾への入塾希望者との面談でのゴールは「全科目受講」です。
えぇぇぇぇぇ?って驚きましたか?
「まぁまだ2年生ですし、少しずつ慣らすためにも苦手科目から始めましょうかぁ」・・・はい、ダメ。やり直し!
「苦手科目を克服して少しでもいい学校に入れる形で三年生を迎えられたらいいですよねぇ」・・・少しでも??ダメ、全然ダメ。
私は譲りません、全科目です、全科目。この前提で面談に臨みます。
(※ここからの話は、これを現場の教室長に落とし込む時には理由をしっかりと説明しなければダメですよ。いきなり「全科目とれ!」と言われても「ひぃぃぃぃいよいようちの塾も生徒をお金としかみていないんだ、こんなところそそくさと辞めてしまおう」となります(笑))
私はクライアントの教室長にこう説明をしました。
2)全科目受講→現状の学力+2ランクアップの志望校への入学
あなたはどちらを選びますか?
※そもそも論として講師の指導力が低くて全科目とっても現状の学力程度の志望校への入学となるのはNGです。当たり前ですけど。講師の指導力が担保されていての話です。
もちろん後者ですよね?2ランクアップした学校に入れるなら全科目を受講してもいい!と思いませんか?
なぜ、私はここまでして全科目を推奨するのか?
理由は・・・子供の将来の可能性を広げられるのは親しかいないからです。
まだまだ学力=人生の選択肢、という世の中ですよね。医者・学者・官僚など、限られた学力(大学卒業)の持ち主(考え古いかな・笑)が選べるものだと思っています。(もちろんそうじゃないケースもあると思いますが)
親御さんは自分が勉強するわけではないから、子供に機会を与えることしかできません。頑張るのは本人ですからね。
苦手科目を平均科目にするのが仕事じゃない!大切なのは子供の未来の選択肢を増やすために親として何ができるのか?という視点で話をすることです。
教室長として親御さんにセールスをするときは視点をずらすことが大切ですよ、といつも伝えています。
そうすればライバルも存在せず、即決してもらうことができます。人は想定外の提案を受けて納得すれば契約をしてくれます。
苦手科目の克服を目的としたセールスになると比較がうまれる
苦手科目を克服することを目的としたセールスになると、親御さんは自分の願望を叶える(子供の苦手科目を克服)ことに焦点が当然当たるので他の塾と比較をしようとします。
これは価格の妥当性です。1箇所しか行っていなければ「ここは高いのか?安いのか?」がわからないですよね。だから他の個別指導塾を検討するのです。
そして、「よくわからないなぁ・・・」と選択できないと家から近い、金額が安い、子供の友達も通っている、という理由で選ぶことになるのです。
もったいないですよね、この基準で選ぶのって。きっと両者にとって幸せな結果を作るのは難しいと思うんですよ。
だから、ゴール(視点)を変えてそこに向けて全力で支援(高いレベルの講師力)をしていきましょう!というスタンスが良いのです。
苦手じゃない科目はやる意味あるの?とたまに質問受けますが、ありありですよ!
だって、平均点の科目がみんな上位になれば自信つくでしょ。「えっひょっとして俺は勉強得意なのか?」とどこかでブレークスルーして勉強が大好きになるかもしれないし、総合得点が上がることでそれだけ2ランクアップの志望校選択も夢ではなくなるわけです。
(※ちなみにここでの議論で2ランクアップしても人生変わらないよ、という話は不毛です)
セールスは顧客の要望に応えるのではありません。ぜひ顧客の要望を超える提案をして顧客の感動を作り出していきましょう。